反対咬合の歯科矯正治療例
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反対咬合(アゴが出る・下顎前突)の症状について
正常な顎の位置関係は、上顎が少し前方にあります。ですから、上顎に付随している前歯もやや前方に位置していますので、かみ合った際には、下顎の前歯が少し隠れるような状態になります。この位置関係が反対になったものを「反対咬合(はんたいこうごう)」と呼びます。反対咬合では「受け口」というわかりやすい顔貌の特徴が現れます。当然、咀嚼機能も低下します。それだけではなく、発音障害も伴いますので、不正咬合の中でも特に早期治療が望ましいタイプといえます。ちなみに、反対咬合の原因は、歯だけにあるものと、骨格の位置や形態の異常が関係しているものとがあります。
反対咬合(アゴが出る・下顎前突)の治療期間
治療にかかる期間は1~2年半程度、通院頻度は1ヶ月に1回。
外科処置を要するケースもあります。
反対咬合(アゴが出る・下顎前突)の治療例(Before&After)と解説
反対咬合(アゴが出る・下顎前突)(10代女子・治療期間3年9ヶ月)
年齢・性別 | 10代・女子 |
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治療期間 | 3年9ヶ月 |
治療費(税別) | 40万円 |
リスク等 | ・症例によっては歯を削ったり、抜いたりする場合がある ・歯の移動による痛みや違和感を感じることがある ・保定装置を使用しないと歯が後戻りする場合がある |
虫歯も乳歯の頃から多く、少し骨格的な受け口でしたが、長期間の治療で何とかカモフラージュすることができました。私がボストンから帰国して初めての患者さんでした。あまり装置をつけたくないと、この状態でのリクエストでしたので最低限反対咬合を治療し、その後は後戻り防止装置のようなもので経過観察をし、最終的に少し下の前歯を直しました。骨格的な受け口も疑われる場合、まず前歯部の反対咬合を治し、その後は成長発育を待ちます。今回はカモフラージュできましたが、下顎の成長が大きくなってしまった場合は、成長発育が終わった後に手術と矯正になります。
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そもそも、反対咬合(受け口)とは具体的にどんな歯列?
反対咬合とは下顎の歯もしくは顎が、上顎の歯もしくは顎に対して前方に位置する状態である。受け口とも呼ばれ、審美的、機能的にも問題が出てくる。
反対咬合の種類
① 歯性反対咬合
骨格的には問題はなく、歯のみ反対咬合の状況をいう。前歯だけでなく、犬歯や奥歯にも起こりやすい。歯のみの問題なのでワイヤー矯正、マウスピース矯正どちらでも治すことが可能である。
② 骨格性反対咬合
骨格的に下顎が上顎より前に出ている状態をいう。
a:上顎の成長が劣っている場合
b:下顎の成長が大きすぎる場合
c:aとbのコンビネーション
の3つに大別できる。骨格的な差異(discrepancy)が手術が必要なほどでない場合は、歯の治療で治すこともある。このように骨格性が認められるが、歯の治療だけで治すことをカモフラージュトリートメントという。
反対咬合の状態
① 歯性反対咬合
前歯に多く認められ、遺伝することもある。アジア人に多く欧米人には少ない。成長期の小児の反対咬合は下顎の成長が始まる前に、治療をすることが重要である。上の歯が下の歯の前にないと、下の顎の成長をストップさせる手段がなく、骨格性に移行するリスクが出てくるからである。
1歯または2歯だけ前歯が反対咬合、奥歯の反対咬合などは歯の萌出スペース不足や萌出方向の変異によって起こる。前歯の1歯または2歯の反対咬合によって、下顎の歯が上顎の正常な状態の歯と反対咬合の歯との間に入ってしまうと、その1箇所でしか咬合できなくなりその部分にのみ負担がかかる。また奥歯ですりつぶす運動ができないなど機能的な影響も大きい。
② 骨格性反対咬合
a:上顎の成長が劣っている場合
10歳以下の小児の場合は、上顎の骨と骨がしっかり付いていないので、上顎を前方に引っ張る方法をとる。これも成功する場合もあれば、うまく前に行かないと成長発育期が終了した後で手術、またはカモフラージュすることになる。
b:下顎の成長が大きすぎる場合
下顎の成長が大きすぎる場合、残念ながら手術、可能であれば成長発育期が終了した後、カモフラージュするしかない。かつては下顎が成長しないように、頭と下顎の突出した部分をチンキャップという装置を使い、下顎の前下方向への成長発育を抑制しようとしていたが、顎間接症を発症するリスクが高くなるという報告が出てから、使用するドクターは減少してきている。
c:aとbのコンビネーション
この場合も10歳以下であれば、a,の手法を試すし、それ以外であれば、手術またはカモフラージュの手法をとるしか治療する方法はないと思われる。
治療方法、治療期間及びリスク
① 歯性反対咬合の治療
抜歯する場合が多いが、ミニインプラントで後方に引っ張り、抜歯を行わず治療することもある。抜歯を行う場合は下の両側4番を抜歯するか、下の両側4番と上の両側5番を抜歯するかに大別されるが、症例によって抜歯部位はもちろん変わることもある。治療期間は抜歯を行う場合は2年半から3年程度かかる場合が多い。
治療のリスクとしては、下顎または下の歯を内部に入れるので、顎の痛み、顎関節症の発症が考えられる。しかし顎関節症の90%は顎を動かしている筋肉の痛みなので、ほとんどの方が一時的であることが多い。残りの10%の方で痛みが残る方は、大学歯科病院の口腔外科などに対診していただくことになる。
② 骨格性反対咬合
a:上顎の成長が劣っている場合
10歳以下であれば口腔内の装置とフェイスマスクというキャッチャーミットに似た器具を顔につけてゴムで上顎を前方に引っ張るという方法がある。成長してしまうと上顎を形作る骨と周りの骨が、ガッチリくっついてしまい、動かなくなる。成人の場合、重度であれば手術しか方法はないが、軽度であれば歯性と同じように治せるカモフラージュトリートメントを選択することもできる。
治療期間は手術であれば、2年程度である。リスクとしてはどちらも後戻りと、手術で思ったような顔立ちにならなかった場合が挙げられる。
b:下顎の成長が大きすぎる場合
これは手術が第1選択になる。成長発育が終了する頃までは矯正治療としては何もやらないことが多い。カモフラージュもできなくはない時もあるが、顔貌の仕上がりとしてはイマイチなことが多い。手術を行った場合の治療期間は2年程度。リスクは上記と同様に、後戻りと審美性に満足が得られないことであろう。
c:aとbのコンビネーション
10歳以下であれば上顎を前方に引っ張ることを試すが、それは下顎の過成長が著しくないときに限られる。反対咬合は骨格性であるならば手術適応度が高くなる症状と言えるだろう。
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BOSTON矯正歯科では、米国矯正学会所属の矯正医が反対咬合(アゴが出る・下顎前突)治療を担当致します。また、歯並び無料相談・セカンドオピニオンも実施しておりますので、新橋・虎ノ門の矯正歯科で反対咬合(アゴが出る・下顎前突)治療をお考えの方はぜひお気軽に当院までお電話いただくか、またはメール相談(写メ相談)をお送りください。反対咬合(アゴが出る・下顎前突)治療実績豊富な矯正歯科医が、どのように治すのか、反対咬合治療の治療費はどのくらいかかるのか、反対咬合治療の治療期間短縮の可能性も含め、詳しく無料カウンセリング致します。お気軽にご相談ください。